やたらと長い履歴書 その2
いよいよ就職活動、希望の会社は全て落ちたが、知り合いのつてで看板屋に勤めた。
デザインをすることもなく、コンビニの看板のようなもので、サイズ通りに鉄板組んで塗装して蛍光管取り付けて配線してトラック積んで現場行って取り付け屋に引き渡す。
ある時どっかの芸大前のポール看板のポールに普通のハシゴかけて上からペンキで塗装してたら
下から芸大の学生さんが、「あんな仕事したくないよね〜」
上からペンキひっかけてやろうかと思った。
看板のペンキ塗りはとても難しく、ムラにならずに塗るには技術がいる。
ある時は看板の打ち合わせで、デザイン会社に行った。
奥から石田純一風のかっこうで
「看板屋さん このデザインで仕上げてね」
俺はペンキだらけのつなぎの作業着、座らせてももらえず立ったままでの打ち合わせ。
この頃からだった、もっと勉強しておけばよかった、もっと出来ることをまじめにしておけばよかったと。
決めた、本当にデザイナーになろう!
この頃はまだインターネットとかなかったから情報がなかった。
分からなかった部分のデザイン書をもう一度読み返し、色ってCMYKの混ぜ合わせなん。文字の大きさって級数で表すんや。(今の主はポイント)
就活の仕方、面接の受け方を独自に勉強し、本当に運良く小さな情報誌の出版会社に入り込むことが出来た。
そこはただただ今で言うブラック企業。
徹夜泊まり込みは当たり前、毎日膨大な量のページを作成していく。
おかげで体はボロボロで先輩も新人も次から次へと辞めていく。
2年も経つとリーダー的な立場になってすっかりなんちゃってデザイナーへと変身していた。
でも薄給やったし何より自分の体が壊れた、
本当に血尿が出た。
辞めた。